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Learning by Playing: なぜ、21世紀型スキルなのか?

「学び」をアップデート! 

 これは、”PLAY学習(Learning by Playing)を提唱する我々”PLAY LAB.が5年程前から掲げてきたフレーズ。なぜ、「学び」をアップデートする必要があるのか?

GAFAと呼ばれる巨大IT企業の台頭や、UBERやAirbnbなどシェアリング・エコノミーというITを介した新しいサービス提供、またAI(人工知能)やロボットを活用したビジネスやテクノロジー製品など産業構造が凄まじい勢いでアップデートされていて、しかもこの「動き」は未来に向かって指数関数的に拡大していく。

平成元年と平成30年の世界時価総額ランキングTOP50を比較すると明らかだ。平成元年には、世界のTOP1は断トツでNTTであり、日本企業はトヨタなどの製造業や銀行など32社がランクインしている。ところが平成30年には日本企業はトヨタ1社のみが35位にランクインし、平成元年の11位からランクを落としている。これは日本のバブル崩壊後の失速の話ではなく、注目すべきは平成30年のTOP1はApple社でNTTの約6倍の時価総額になっており、更にはTOP10にランクインしている企業はアマゾンやフェイスブック、マイクロソフトやアリババ、テンセントなど米中のIT企業が名を連ねている。

社会のあり方が大きく変わっているのだ。

社会に必要な人間を育成することが教育

新しい価値を提供するIT企業

社会に必要な人間を育成することが、教育。

現在の教育システムは、およそ100年前に作られたもの。19世紀の産業革命により、資本主義的生産様式が確立し、生産性と効率性という経済的原理に基づいて標準的な知識を教える教育が近代国家にとって必要であった。そこでの教育とは、教師が教科書の内容を生徒に一律に伝達し、効率的にインプット(暗記)した内容を、早く正確にアウトプット(答案用紙に書き込む)するスキルの養成と言える。

 しかし第4次産業革命と言われる現代において、教科書の中にある知識が全てではなくなった。ブラウザやアプリ、あるいはクラウドの中に大量の知識やスキルが指一本スライドすることで簡単に即座に手に入れることができる今、それらのデータを頭のハードディスクに保存しておくメリットも容量も、そもそもないのだ。むしろ、知識や情報の活用方法をクリエイティブに発想し、自ら問題を発見し、問題解決を実験的試行という創造的なトライ&エラーを経て見つけ出し、正解のない未来に「解」を提示できる思考力なのだ。

 これは何もITエンジニアやロボット工学者、あるいはプログラマーやアプリ開発者になりたい子だけの話ではなく、農家さんやお花屋さんになりたいと思う子にとっても、このアップデートされた教育が必要になるのが、彼らの生きる(すぐそこに在る)未来なのだ。


STEAM教育を理解しよう

STEAM教育とは、「Science(サイエンス)=科学」「Technology(テクノロジー)=技術」「Engineering(エンジニアリング)=工学」「Mathematics(マスマティックス)=数学」に「Art(アート)=芸術」を加え、それぞれの頭文字をとった言葉で、2000年代にアメリカから始まった国家を挙げてIT人材を育成しイノベーションを興そうという教育モデル。情報科学やテクノロジーの進化により、これに対応する全ての人への理数系の教育が急務となったわけだが、STEAM教育の根底には自発性や創造性、問題解決力といった能力を高めるという意図もある。これは、子どもは「モノ」を作りながらその試行錯誤というプロセスを通して学ぶことで、主体的な学習者(アクティブ・ラーナー)となる「構築主義」の考えとも親和性が高い。

STEAMをよりわかりやすく分解すると、Science(サイエンス):科学は「自然を説明するルール」、Technology(テクノロジー):技術は「実際に形にする技」、Engineering(エンジニアリング):工学は「設計する力」、Mathematics(マスマティックス):数学は「ルールを説明する道具」、そしてArt(アート):芸術は「発想し、表現する方法」と言える。2020年4月より小学校で必修化となったプログラミングは、「設計する力=Engineering(エンジニアリング):工学」に位置する。

この領域を横断的に学び、STEAMリテラシーを構築することこそ、21世期に求められる教育と言える。


21世紀型スキルの教育指針の提言

 小学校で必修化になったプログラミング教育は、プログラミング言語を覚えることではなく、論理的思考力などのプログラミング的思考力を育成すると定義されている。

では、実際に小学校でどういうプログラミング教育が行われるか? おそらく、現時点で全ての学校でパソコンを1人1台与えるというのは現実的には難しいので、お金持ちの自治体や学校でしか実現できないのではないか?という危惧がある。また、教える学校の先生にプログラミングの知識や、今経済というビジネスの中で起こっているITやAIの活用経験があるのか? という疑問もあり、これは日本の英語教育の失敗を連想せずにはいられない。授業自体は、現在の教科・科目の中でプログラミング的要素を少し取り入れる、ということだそうだ。理科の中で少し、算数の中で少し、といった具合に。

海外を見てみると、プログラミング教育やSTEAM教育はすでに多くの国始まっている。イギリスは我々より10年も先に必修化になり、Skypeを産んだエストニアやフィンランド、フランスやハンガリー、アジアでは韓国、中国、シンガポールやインドなどで既にスタートしている。海外ではプログラミングという科目を設けたり、数学の授業の中にプログラミングを組み込んでいるようだ。いづれにしても集中的に専門的に授業を組み、国家国益としての人材育成というはっきりした位置づけがある。これらの環境で育ったリテラシーやスキルの高い世界中の子たちと、日本の子どもたちは熾烈な資本主義経済活動の中で、共生して行けるのだろうか?

今の子どもたちが、すぐそこの未来にロボットに使われる側にならないためにも、しっかりとした教育指針を掲げ、教育をアップデートすべきではないだろか? 我々”PLAY LAB.では以下の3つの柱を掲げ、横断的に学んでいく教育プログラムにとり組んでいる。このプログラムに使用する教材は、ボードゲームなどのアンプラグド(電源の要らない)教材やロボットなどのTech教材を使い、プログラミングやSTEAMの本質的理解と経験を習得するものだ。特徴的なのは、実験的試行という創造的なトライ&エラーのプロセスを重視していることや、スクリーンの中だけで完結せずに必ず実際のモノを作ったり使ったりしながら現実世界とスクリーンを連動させること、そして何よりも子どもたちが主体的な学習者(アクティブ・ラーナー)となることを目的としていることだ。

— “PLAY LAB.

この3本柱を横断的に学ぶ教育が、”PLAY学習。低年齢層ほど「創造的な感性&思考スキル」の比重が高く、高学年ほど「コンピューテーショナル思考スキル」の比重が高い。ただし、小学校〜高校生まではどの年齢でもこの3本柱を横断的に学び総合的に21世紀型スキルを育成する。しかも、”PLAYを通して。