コリドール・キッズ 学習指導HANDBOOK

エクササイズ9:チャレンジ問題の解説

チャレンジ問題は楽しんでいただけましたでしょうか。
先の展開を読んだ戦略的な思考やルールの奥深さなど、今回の問題の解説を読むことでコリドール・シリーズの考え方や楽しさが伝われば幸いです。

解説に入る前に、もう一度ルールを復習してみましょう。

・ネズミを一歩進めるか、フェンスを置く
・ゴールは向かい側のラインのどのマスでもOK
・フェンスは必ず2マスにかかるように置く
・ネズミが向かい合ったら次の人は飛び越えて移動できる
・相手を閉じ込めるようなフェンスの置き方はできない(ゴールまでの道は必ず1つ残さなければならない)

今回の問題のポイントは、「相手を閉じ込めるようなフェンスの置き方はできない(ゴールまでの道は必ず1つ残さなければならない)」というルールです。

このルールを頭に入れた上で、解説を読んでいきましょう!

初級問題の解説

<2人対戦>
あなたはもうすぐゴールにたどり着きますが、相手の水色のネズミさんも同じようにもうすぐゴールです。
さて、次はあなたの番です。
あなたはこの後、ネズミさんを前に進めますか? それともフェンスを置きますか?
頭の中で展開をシミュレーションして、勝つ確率を高める判断をしてください。

【A. 自分のネズミさんを一歩前に進める】【B. フェンスを相手のネズミさんの前に置く】

解答:【B. フェンスを相手のネズミさんの前に置く】

【A.自分のネズミさんを一歩前に進める】を選んだ場合のシミュレーション

自分のネズミさんを一歩前に進めた場合

ゴールされるのを阻止するために、相手はきっと目の前にフェンスを置いてくるでしょう。

すると、あなたは最短ルートを失い、ゴールを目の前に遠回りさせられてしまいます。
最低でも12マス進まないとゴールできません。

こちらも相手のネズミさんの前にフェンスを置いてやり返したいところですが、
この置き方は相手のネズミさんを閉じ込めることになるのでできません。


【B.フェンスを相手のネズミさんの前に置く】を選んだ場合のシミュレーション

フェンスを相手のネズミさんの前に置いた場合

先ほどとは逆で、相手に遠回りをさせることができます!
相手はゴールするのに最低12マス進む必要がありますが、こちらはたったの2マス!

相手はあなたのネズミさんの前にフェンスを置いて遠回りさせることもできません。
なぜなら、それをすると自分のネズミさんを閉じ込めてしまうことになるからです。


シミュレーションの結果、フェンスを相手のネズミさんの前に置くべきだと判断できました。
したがって、正解は「B」です!

【考え方のコツ】
相手を閉じ込めるようなフェンスの置き方はできない(ゴールまでの道は必ず1つ残さなければならない)というルールより、フェンスを使った邪魔の一手=ネズミさんを閉じ込める置き方になってしまう状況が成立したとき、相手は邪魔をすることができなくなります!

中級問題の解説

<2人対戦>
相⼿の水⾊のネズミさんがゴールに近づいていて、先にゴールしてしまうかもしれません。
さて、次はあなたの番です。
あなたは、フェンスを使って相⼿のネズミさんを遠回りさせたいと考えています。
次の2つの選択肢のうち、どちらにフェンスを置くのが良いでしょうか?
頭の中で展開をシミュレーションして、勝つ確率を高める判断をしてください。

【A. 相手のネズミさんの目の前にフェンスを置く】【B. 相手のゴールの手前にフェンスを置く】

解答:【B. 相手のゴールの手前にフェンスを置く】

【A.相手のネズミさんの目の前にフェンスを置く】を選んだ場合のシミュレーション

相手のネズミさんの目の前にフェンスを置くと

相手の近道を塞いで、遠回りをさせることができますね!
数えてみると、最低でも14マス進まないとゴールできそうにありません。

でも、ちょっと待って!
この置き方では自分のネズミさんも遠回りすることになっちゃいます!
数えてみるとゴールまでなんと16マス!
お互いフェンスを残していてまだ勝敗はわからないとはいえ、
ゴールまでの距離で判断するとこちらが不利な状況に…


【B.相手のゴールの手前にフェンスを置く】を選んだ場合のシミュレーション

今度は、先ほどと異なる位置にフェンスを置いてみます。
この位置に置いても相手の近道を塞ぐことができますね。

先ほどと同様に、相手に最低でも14マスの遠回りをさせることができます!

そして自分のネズミさんのルートはご覧の通り。
ゴールまでの距離は9マスになりました。
相手の近道を塞ぎながら自分の遠回りの可能性も同時に塞ぐことで、一気に有利になります!


シミュレーションの結果、フェンスは相手のゴールの手前に置くべきだと判断できました。
したがって、正解は「B」です!

【考え方のコツ】
ゴールまでの道が複数あるとき、遠回りになってしまう道を見つけて先に自分で塞ぐことで、残された1つの近道を相手は邪魔することができなくなります!
今回の場合、相手の近道を邪魔する一手、自分の遠回りの道を塞ぐ一手、この二つが同時に成り立つフェンスの置き方ができたので、一気に有利になりました!

上級問題の解説

<4人対戦>
ゲームも終盤に差し掛かり、全員フェンスを1枚ずつ残した状態で、どのネズミさんもゴールに近づいています。
さて、次はあなたの番です。
あなたはこの後、ネズミさんを前に進めますか? それともフェンスを置きますか?
頭の中で展開をシミュレーションして、勝つ確率を高める判断をしてください。

【A. 自分のネズミさんを一歩前に進める】【B. フェンスを水色のネズミさんの手前に置く】

【C. フェンスを黄色のネズミさんの手前に置く】【D. フェンスを黄緑色のネズミさんの手前に置く】

解答:【D. フェンスを黄緑色のネズミさんの手前に置く】

【A. 自分のネズミさんを一歩前に進める】を選んだ場合のシミュレーション

自分のネズミさんを一歩前に進めました。
目の前の道を進めばあと2マスでゴールできますが

なんと相手にゴール手前の道を塞がれてしまいました。

近道が塞がってしまったため、遠回りしないとゴールにたどり着けません。
最低でも9マス進む必要があります


【B. フェンスを水色のネズミさんの手前に置く】を選んだ場合のシミュレーション

ここに置くことで、水色のネズミさんの近道を塞いで遠回りをさせることができますね。

しかし、水色のプレイヤーもフェンスを持っているので、ピンク色のネズミさんの前にフェンスを置いてやり返してくるかもしれません。
先ほどと同じように目の前の近道を塞がれたら、遠回りしないとゴールできません…

【C. フェンスを黄色のネズミさんの手前に置く】を選んだ場合のシミュレーション

ここに置くことで、黄色のネズミさんの近道を塞いで遠回りをさせることができますね。

しかしこの場合も、水色のプレイヤーと同じようにやり返してくるかもしれません…
近道を通ってゴールするためには、“相手にフェンスを置かれない方法”を考えないといけませんね。


【D.フェンスを黄緑色のネズミさんの手前に置く】を選んだ場合のシミュレーション

ここに置くことで、黄緑色のネズミさんの近道を塞いで遠回りをさせることができますね。
さらに、フェンスを置いたこの位置は、ピンク色のネズミさんの遠回りのルートでもあります。

遠回りのルート上にフェンスを置いたことで、
ピンク色のネズミさんがゴールするための道は目の前の一本道のみという状況に!
ちなみに、ゴールまでの距離は、ピンク色が残り3マス、水色と黄色が残り4マス、黄緑色が残り11マス。
ピンク色が最もゴールに近いので、順調に進めば相手が先にゴールしてしまうことは無さそうですね!

そして、近道である一本道に相手がフェンスを置こうと思っても、ピンク色や黄緑色のネズミさんにとってこの道は唯一のルートなので、フェンスを置いたら閉じ込められてしまいます。
つまり、誰もこの近道を塞ぐことはできません!


シミュレーションの結果、フェンスを黄緑色のネズミさんの手前に置くべきだと判断できました。
したがって、正解は「D」です!

【考え方のコツ】
自分の退路(遠回りの道)を断ち、自分の進路(近道)を邪魔されない状況(フェンスを置くことで閉じ込められてしまうような状況)を作ることが、勝つための考え方のコツです。
そして、最適な判断をするためには、相手のフェンスの残数、ゴールまでのマス目数、前後左右の状況から、論理的に仮説を組み立て、頭の中で展開をシミュレーションすることが大事!